たぶんもう愛せない
<誕生日>
弥生のベッドからシーツを引き剥がすとランドリー行きのバッグに入れ洗濯済みのシーツをセットする。

ロボット掃除機を起動しているので、後は簡単に棚などの埃を落としていくだけだ。
ベッドの前に置いてあるサイドボードの上にあるジュエリーボックスは使っているが、それ以外のものはほとんど動いていなかった。

この辺の置物にも一つカメラを付けておきたいが操作に時間がかかりそうだったので、まずは壁にかけられているドライフラワーのリースにカメラを取り付けベッド裏に盗聴器を取り付けた。
リスクはあるけど必要な情報を手に入れたら外してしまえばいい。

記憶にある通りだとリースもずっと付けっぱなしだった。
しばらくは大丈夫だろう。

お義父さまの書斎に入ると、ソファベッドからシーツを外しこちらもランドリー行きに入れる。こちらには乾燥機をセットしてその間に他の部屋の掃除をしていく。

ネットで申し込んで置いたクリーニングの回収が来てランドリー用のバッグを渡すと、前回出しておいたものが返却されたのでそれぞれのクローゼットに戻して、お義父さまの書斎に行き、ベッドメイキングをして社長宅の掃除は完了で後は夕食を準備するだけだ。

クリーニングから戻ってきた海のスーツを持って家に戻ると掃除をして、昼はいつものように昨夜の残りを少しアレンジして簡単に済ませる。
この後は私が自由になれる時間で2時まで弥生から連絡がなければ、夕食は私が適当に考えることになる。
ダージリンを入れていつものソファに座りタブレットで夕食のアイデアを考える。


トルマリンを指でもてあそびながらレシピサイトをぼんやりと眺める。
朝、顔を洗おうと洗面台の鏡を見たときにペンダントトップの後ろに鬱血の痕がついていた。
まるでペンダントの相手に嫉妬でもするように。
これが岸課長からだって知ったらどう思うだろう。まだ、私が未練を残していると思うだろうか?そういえばあの二人の披露宴は中止になったと聞いた。
因果応報
私もこの復讐が終わったら罰を受けるのだろうか。
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