たぶんもう愛せない
怠い


自分から挑発したものの、海と私のスタミナの差をわかってなかった。
重い身体をなんとか動かし熱めのシャワーを浴びると少しは動けそうになった。

シャケをグリルに入れその間に夜のうちに作って置いた胡瓜の酢の物を小鉢に盛り付け味噌汁を作る。

時々、身体の節々がピリリとなる。

「うっ」
腰を摩っていると背後から抱きしめられた。

「おはよう、無理しなくてもいいよ。座って」

ダイニングの椅子を引くとそこに座らされ、反対に海がキッチンに立った。

「あとは何をすればいい?」

「シャケが焼けてると思うので皿にのせて、味噌汁も出来てるのでお椀に、あとご飯」

「了解、あとは俺がするから」

「ありがとう」

手際よく海がテーブルに並べていくのを見ながら今夜この男は弥生と寝るんだと思うと少し冷めて来た。



海は結局、片付けをしてから出かけて行った。


「大変なら今日くらい家事を休んでもいいよ、あっちには俺から言おうか?」

って、言ってくれたけど「大丈夫、病気じゃないんだし」と言って見送った。



弥生のベッドルームへいくといつものようにシーツを剥がして新しいものと交換する。
多分弥生は夕方はエステだろう。
私もエステ以外に体力をつけるためにジムでも通おうかな、前回は弥生にカルチャースクールを勧められてカルトナージュの教室に通った。
面白かったけど、今回はスポーツにしよう。


カメラの位置を確認してから、窓の下にティッシュに包んで持ってきたピアスの片割れを落としてから部屋を出た。


買い物に出ると弥生から『今夜は適当に食べるので夕食はいらない』とLINEが入った。
お義父さまがいないと言うことは言わないのね。

じゃあ今夜はニンニクをたっぷり入れた餃子にしようかしら。
ニラもたっぷりでつけダレにもニンニクをすりおろしておこう。
海はどうするかしら、匂いを気にして食べないなとか。食べなかったら悲しいふりをしよう。

楽しい

多分、今夜は赤ワインを飲むはずだからカマンベールでも買っておこう。
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