たぶんもう愛せない
海を見送ってから目星をつけておいたテニススールに連絡を入れる。
屋内コートで天候に左右されず暑い日も寒い日も快適にテニスが出来そうだ。学生時代にサークル活動としてテニスサークルにいたため初心者ではないが、クラブ活動とは違い球を返せる程度のレベルだが楽しんで体を動かすくらいの気持ちでここに決めた。

家事を済ませると海への誕生日プレゼントを選ぶためデパートに向かった。

前回はネクタイだった。
何となく身につけるものは嫌だ。
引き出しの肥しになるものがいい、それでいてプレゼントとして遜色の無いもの

ふと思い立って大型文具店に向かうと、ガラスケースに入ったボールペンを見つめる。

これならデスクの上とか引き出しに入れっぱなしになっていいかも。

「これをプレゼント用に包んでください」

「こちらは名入れができますがどうしますか?」


Marchとでも入れようかしら

「名前を入れると時間はかかります?」

「1時間ほどで出来ます」

「それでしたらお願いします。名前は」

少し押し付けがましい感じがいいかしら、もしかしたら海の動向を気にする弥生が見るかもしれないし。

名入れの文字を用紙に記入すると一旦お店を出た。

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