たぶんもう愛せない
土曜日の午前中とあって、体験入校のメンバーは年齢層が幅広くオープンして間もないこともあり人数も多かった。
軽くシステムの説明があった後はストレッチをして、アンケートに書いた履歴により簡単なグループ分けがされた。
経験者とは言えほぼ遊びだったので初心者コースに入ることになり、軽いラリーを程よく楽しんだ。
弥生と海を泳がせるための時間が必要な為、何かしらのスクールに通う気ではあったが、久々の運動は体と脳にいい刺激を与えた。
シャワーを浴びて着替えいると、先程同じ初心者コースにいた女性から声をかけられた。

「入会はどうするんですか?」

「入会しようかと思ってます」

「「じゃあこれからランチしません?」」

声を掛けてくれた女性とは違う二人の女性が声を揃えて誘ってきた。

「ご一緒させてください」

海に『体験入校をした方たちとランチをしてから帰ります』とLINEを送った。
イタリアン風のファミレスでパスタやピザ、チキンなどをシェアしてドリンクバーで好きなものを好きなだけ飲んで元を取るんだ!って感じが楽しい。
4人の中で私が1番年下になるが、気兼ねすることなく話をすることができて話し込んでいるうちに午後3時を回っていた。

「いけない、そろそろ帰らなきゃ」
私が慌てていると他の三人も帰る支度を始めた。
私も含め4人とも既婚者で二人は平日のみで私と工藤さんは火曜日の午後と土曜日の午前中の2回にした。

皆んなと別れてからスマホを確認すると『分かった』という言葉と『帰りは何時くらい?』『遅くなるなら迎えに行こうか?』と連続で入っていた。

すっかり返事を確認するのを忘れていた。
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