たぶんもう愛せない
いつものように、洗濯物をランドリーに出して掃除をする。
弥生はリビンでドラマを見ながら美顔ローラーで顔をコロコロとしている。

「ねぇ、奈緒さん。テニスはどうなったの?」

「火曜日の午後と土曜日の午前中にしました」

「そう、がんばって」

「はい」

どう伝えようか考えていたけど、聞いてくれてよかった。土曜日は海が休みになることがあるし、今頃いろいろ計算しているんだろう。
自宅に戻って掃除を済ませクローゼットを見にいくとあのネクタイは丸めて収納ボックスの上に置いてあった。

青いバラのネクタイを持ってリビングに行きテーブルの上に置く。
結婚するときに持ってくるかどうか悩んだが結局持ってきてそのまま仕舞いっぱなしになっていたミシンと裁縫セットをもってきてテーブルの上に置いた。

ネクタイを解体しようとした時に、ふと隠しカメラを思い出し、海があの日ソファに座ったまま寝ていたことが気になったので見てみることにした。
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