たぶんもう愛せない
青バラコースターの反応が面白くて、お掃除の間スキップしそうになった。

「あ〜面白い」
つい声に出てしまう。

そこに、来客を告げるチャイムが鳴った。
ドアフォンを見ると宅配業者だった。

荷物を受け取り送り主を確認すると、あれの依頼をした研究所からだ。

急いで中を開け報告書に目を通す。

トリアゾラム

小さな袋2袋、ワインに溶けていたものどちらもトリアゾラム、市販名はハルシオン。
やはり、睡眠薬だ。
前回、私はこれを何度も何度も飲まされたんだ。
弥生は海の子供が欲しいとか言いながら、妊娠中だった私や授乳中の私にハルシオンを飲ませていたというの。
子供を何だと思っていたんだろう。人形じゃない、大切な命なのに。
海も自分の子供なのに。
あの頃、不眠や突如の睡魔は妊娠や出産で私の神経が不安定になっていたからだと思っていた。
本当は、ハルシオンを定期的にしかも適量では無く多く盛られていた可能性もある。

だから

だから


あの夜、正常な判断ができなかった。

薬の副作用がなければ
あんなところに、永遠を残すはずはなかった。
雨の中、裸足で歩くことはなかった。

永遠はどうなったんだろう。
弥生と海が育てたんだろうか?

弥生に育てられたんだろうか?

あの日、永遠が寝ていたソファに抱きついて声が枯れるまで泣いた。

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