たぶんもう愛せない
しばらく何も出来ずにソファにもたれてぼんやりとしていた。

顔は泣いていたのがわかるほど目が腫れている。
しっかりしないと。
返送されてきたものと報告書を写真に取るとパソコンに送信する。
ワインの染み込んだスポンジは水で流してからキッチンペーパーに包んで捨て、薬が入っていたチャック付き袋と報告書は一緒にセクションファイルに収めると鍵付きの引き出しに入れた。


夕食を届けに行くとお義父さまから目の腫れについて聞かれたので、韓国ドラマで涙が止まらなくなったと答えると

「そんなに韓国ドラマは泣けるのか?弥生も今朝、ネットで韓国ドラマを見たら涙が止まらなかったと言って目を腫らしていたんだよ」

と、お義父さまは言っていたが弥生が泣いていたのは、きっとあの青いバラネクタイを好みじゃいと言われ私に裁断され”取引先のおばさん“と言われたからよ、と言えたらどんなにスッキリするか。

いや、


そんなものではスッキリする訳がない。


海にも韓国ドラマで泣いたと説明をしてベッドに入ってからもイヤフォンを使って適当なドラマを視聴した。

今夜は海の戯言は聞きたくなかった。
優しい言葉をかけられたら、呪いの言葉を怒鳴り散らしたくなるから。

弥生と共に地獄へ落ちれ、と。

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