たぶんもう愛せない
焼き茄子と小鉢にはひじきの煮物、納豆には韓国のりを崩したものと鰹節をかけ、豆腐とあげの味噌汁を並べていく。
ふと、今日の味噌汁って全部大豆だとどうでもいいことを考える。

「今日はテニスだっけ」

「うん、それからお昼なんだけど仲良くなった工藤さんと食べてきていい?」

「ああ、構わないよ」

「じゃあ、サンドウィッチでも作っておく?」

「そうしてくれ」

食事の後片付けをした後、食パンに冷凍枝豆を入れた卵焼きにレタスを挟んで半分に切ると一つづつラップで包む。

海はダイニングの椅子に座ってわたしの作業を見つめていた。

「奈緒が来てからすごく体調がいいんだ。きっと朝からちゃんとした美味しい食事を食べているからなんだろうな」

「急に何?」

「急じゃないけど、感謝してるってこと」

はいはいそうですか〜と心で冷めた返事をして、テニススクールに出かけた。

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