たぶんもう愛せない
家に帰ると海は何気ないふりでソファでタブレットを見ていた。

「プリン買ってきたよ」

「ああ、ありがとう」

「一緒に食べよ」と言ってテーブルに二つのプリンを置く。わざと鼻を犬のようにクンクンさせてから
「弥生さんが来てたの?」

「え?何で?」

「何となく弥生さんの香水の香りがしたようなきがしたから」

「いや・・・あっもしかするとさっき郵便物を見に外に出た時会ったんだ」

「今日は土曜日だから普通郵便の配達は無いよ」

「そっか、うっかりしていたよ」

くだらない言い訳を聞くのも面倒になったのでプリンを食べてからテレビを見始めた。


出したんだか、中途半端で終わったのか知らないがあんな光景を見ると、海のことが気持ち悪くて仕方がない。
夕食を食べた後は、韓国ドラマの続きを見ると言ってベッドに入るとイヤフォンを付けてドラマの視聴を始めるが内容は全く入ってこない。

そもそも、社長であるお義父様が仕事で出てるのに専務の海が休日を継母と楽しんでいるなんて、ほんとに最低。

お義父様は弥生のことをどう思っているんだろう?
あんな女でも愛してるんだろうか?

私なら、もっとお義父さまを大切にするのに。


お義父さまの優しい笑顔を思い出していると、海もベッドに入ってきた。
手を伸ばし抱きしめようとしたところで、イヤホンを外しスマホをサイドボードの上においた。


「ごめん、テニスで身体中が痛いの」

「そうか、お休み」



弥生が舐めていたものなんて気持ち悪い。
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