レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
「それ。そのプレゼント、本当に兄さんからだと思ったー?」
「……は?」
「変だと思わなかった?郵便受けなら、誰でも入れられるよー」
太央が奈都さんのバッグについた人形を指差すから、彼女の眉間にシワが1つ増える。
「俺が仕掛けてたのは、志保ちゃんじゃなくて奈都にだよ。この会話もぜーんぶ、家のパソコンに転送録音してあるから」
ヘラヘラと笑う太央が奈都さんに近寄って、バッグについたクマのキーホルダーを外した。
それを自身の上着のポケットに入れて、
「このクマ、返してねー。結構、高かったんだよね。中身の盗聴器がー」
言葉を続ければ、奈都さんの表情がみるみると歪んでいくのが分かる。
「でも、おかしいよ。あれは、成央の文字だった…!」
「文字似せるなんて簡単だし。俺、弟だよ?」
「……っ、」
「あー……まずいよねー、殺人未遂なんて。計画たててたなんて流出したら、社会的にヤバっ。あはっ、ちゅーなんて可愛いもんだよね?」
太央が、しゃがみ込んで私のバッグと荷物をまとめ始めるから、手伝わなきゃと思うのに足が動かない。
ギリッと歯を食い縛る彼女も、それを見て笑顔な太央も怖かった。ただ、唖然と2人のやり取りを眺めることしかできなくて。
「あ、あれはー奈都のだよね?」
私のバッグから落ちた、注射器と布で包まれた何かに3人の視線が向けられた。