レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加



「成央を解放してあげたかったの。成央の取り巻く環境を整えてあげて、自由に……」

「あー…、押し付けね。そんなの心底どうでもいーよ。さ、奈都の弱みも手に入れたし。行こ、志保ちゃん」


奈都さんがその場に座り込んで首を力なく横に振る。地面に落ちているソレを手に取って、ぐっと胸の中に抱き締めた。



「解放、呪縛を…成央のために、彼の明るい人生のスタートを……、」


ブツブツと小さくて不気味な呟き声が聞こえてくるから、ぞっとするのに。太央はそんなの気にしないで、私の左手首を握った。


彼女に背中を向けて歩き出そうとしたその瞬間──。










「きゃぁぁぁぁっ!!」

「うわっ……」


誰かの叫び声が響いて、後ろを振り向くと刃渡り振り回す奈都さんが走ってきた。



「や、やめ……」

「志保ちゃんっ」


強く痛い位に握られた私の手に、ドロリと生温かい液体がつたっていく。
それが何なのかすぐには理解出来なかった。

太央の声、周囲のざわめき、入り口に立っていたガードマンが慌てて近付いてくるのが見えた。



「ふ、ふふ、はぁっ、人を刺す気分は…いたが…ですか…?」


すぐ目の前に、息を上げながら目をギラギラとさせて笑う彼女の顔が飛び込んでくる。




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