レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
11.廃車
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「三木先生って、今日も休みなの?ずっと休んでんじゃん」
「太央、お前の親戚になるんだろ?何か聞いてないのー?」
「んー?知らなーい」
キョトンと首を傾げて惚けてみせれば、「つめてー!」なんて教室に笑い声があがる。
冬休みが終わって、新学期が始まったけど。志保ちゃんは学校をずっと休んでいた。
「んじゃ、俺そろそろ帰るねー」
「は?太央、お前まだ午後の授業あるぞ?」
「うーん。あはは、バイバイ。また明日ー」
リュックに教科書を詰めて、席を立ち上がってコートを羽織る。
いつも笑って場を和ませるのが、俺の役割だから。笑顔を振り撒きながら手をひらひらと振って、教室をあとにした。
「俺、噂で聞いたんだけどさ。三木先生、冬休み中になんか事件に巻き込まれちゃったらしいぜ」
「えっ、それ私も聞いた。人刺しちゃったとかー」
「マジで??嘘だろ?」
廊下まで聞こえてくるクラスメート達の野次馬な話し声。
学校内では、志保ちゃんについての噂が嘘もホントも混じって広がっている。
そのまま、北校舎と南校舎をつなぐ廊下を昇降口に向かって歩いてる時だった──。
「黒田くん、これ落としたよ?」
後ろを振り返ると白衣を着た橘先生が立っていた。