レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加



外の光が殆ど入らない薄暗い部屋。
シャッターもカーテンもぴったりと閉められていて、以前の志保ちゃんの部屋の雰囲気とぜんぜん違う。



「や、やめて……こ、来ないで」

「志保ちゃん、俺だよー、太央。怖い夢でも見た?」


頼りない小さな声が震えているのが分かる。志保ちゃんは何かに脅えるように膝を抱えて身を縮めていた。

きっと、あの時の夢をまた見たんだろうな。




「ち、…近寄らないで」


きっと、今の志保ちゃんの"近寄らないで"は"来て欲しい"だから。
頭まで毛布を被った志保ちゃんに近付いて、ギシッとベッドの上に乗った。



「よしよし。ごめんね、1人にして」


毛布を下ろして、やっと志保ちゃんの顔を見ることができる。目の下にはクマ、髪の毛はボザボサ、肌はガサガサだ。

頭を撫でて、優しく包み込むようにそっと背中に手を回すと、志保ちゃんも少し迷いながら俺の制服の裾をギュッと掴む。


あー…、可愛いなぁ。
ツンツンした志保ちゃんも好きだけど、これはこれで堪らなく可愛くて(いと)おしい。




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