レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
あの事件から、志保ちゃんは情緒不安定になってしまった。
感情的に怒ったり、震えたり。ボーッとしてたかと思ったら突然大きな声を出したり。
子供みたいにシクシクと泣き出したり。
「夢が…、リアルで、終わったのは時間がたっている事は分かっているのに、なんだろう曖昧で区別が……」
志保ちゃんの目からボロボロと涙がこぼれ落ちていくから、頬をペロリと舐めて瞼に軽くキスを落とした。
「……太央、くすぐったいからやめて」
「んー?」
「……太央、体冷たい」
「外、すごい寒かったから。志保ちゃん♡あっためてー」
「……そう」
外の話をすると一気に曇る瞳。落ちる声のトーン。
抱き締めるごとに細くなっていく身体。
強く力を入れたら折れちゃうんじゃないかな?そのうち骨と皮だけになっちゃうんじゃないかと心配になって、小さな息を吐く。
「ご飯、食べたー?」
「……いらない」
「うん。じゃー、待っててね」
志保ちゃんは下を向いたまま首を横に振るけど、ベッドからジャンプしてキッチンへ向かった。