レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
1週間前、炊飯器でのお米の炊き方を覚えた。
今まで料理なんてしたことなかったけど、放っておくと志保ちゃんは1人で食べようとしないから。
最初のうちはお弁当を買ってきていた。でも、それも飽きたし。本当は志保ちゃんの手料理が食べたいんだけどな。
「はい、あーん」
ベッドの上で俺と向かい合う志保ちゃんは、まだ毛布を被って膝をかかえたまま。
レンゲに乗せたご飯をフーと冷ましてから、志保ちゃんの口へ近付けた。
最近の俺の自信作で。市販のもとに卵を落としただけの雑炊だから、味付けは保証できる。
「いらない?美味しくできたんだよー?」
「食べたくない…」
志保ちゃんがプイッと顔を横に向けて目を伏せる。子供みたいだな。
「えー、せっかく作ったのにー」
「お腹、空いてないから1人で食べて」
「1口食べて?口移してもいいの?」
無言になる志保ちゃんの顔を覗き込んだ。
そのカサカサになった唇を指でなぞって、親指を口の中に無理矢理入れる。
そのまま口を開かせて、顔を近づけようとしたのに──。