レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
志保ちゃんは真面目過ぎて"つまらない女"だ。面白いところなんてないのに、俺は志保ちゃんが欲しくて堪らない。
ちょっと意地悪を言えば、俺にだけ見せる崩れた表情は最高に可愛くて、いても立ってもいられなくなる。
いつも目で追って見ていたから、志保ちゃんが兄さんのこと好きだっていうのは分かってた。
俺は兄さんみたく何でもできるタイプじゃないし、取り柄といったらニコニコして可愛がられるムードメーカー的なところだけだし。
兄さんとの婚約が決まった時、志保ちゃんが幸せならいいと本気で思ってたんだ。
手に入れられない物だからこそ、眩しくて綺麗なまま眺めていられる。ただ、ずっと一生傍にいられればいいと。
でも、兄さんと奈都との関係も知っていたから──。
兄さんのLIMEを同期設定をして、兄さん宛のメッセージを俺のスマホに自動転送までさせて。
あの夜、奈都が兄さんのアパートに遊びに行くのを知っていたんだ。
志保ちゃんが、奈都の存在を知らないのは憐れで、可哀想だと思ったから。
後から知るより、惨めにならないと思ったから、奈都の存在を志保ちゃんに知らせてあげようと考えた。
志保ちゃんを傷付けたかったわけじゃない。
手なんて届かなくて良かった。
触れるつもりなんか──、なかったのかな?
本当は傷付けて立ち直れない位にボロボロにして、自分だけのものにしたかったんじゃないかな?
俺だけの可哀想な志保ちゃんに。
だって、俺、今がめちゃくちゃ幸せなんだもん。