レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
ガタッと音がして脱衣所の扉が開くと、お風呂上がりの志保ちゃんがでてきた。
「あ、俺、志保ちゃんの髪の毛乾かすー」
髪の毛からポタポタと水滴が落ちて、パジャマの肩を濡らしていくから、バスタオルとドライヤーを準備する。
近付くと身を守るように体をまるめて、ドライヤーの音を立てるとビクッと大きく肩を震わせた。
小さな刺激でも怖がるその姿は、まるで弱々しい子供だ。脅えているようにしか見えない。
シャンプーの落とし残しがある、サラサラとはいえない長い髪の毛にキスをする。
「志保ちゃん、大好きだよ」
この小さな部屋の中で俺と志保ちゃんの2人きり。
窓は閉めっぱなしで換気はしない、同じ空気を吸って吐いて過ごす日々。
志保ちゃんが望むなら、もう外なんか出なくていーよ?俺とだけ接して、ただ、俺の帰りを待つだけの人生でいい。
後ろから志保ちゃんの顎を持ち上げて、その乾いた唇にちゅっと口付ける。
志保ちゃんは困ったように俯くけど、俺はそんなの気にしない。
にっこりと笑って、両手で頬に振れて、もう一度ゆっくりとキスを落とした。