レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
「…んっ、んー…」
「志保ちゃん、どうしたー?」
「……っ!…や、いや、あぁぁぁぁっ!!」
眠りについて、少しすると志保ちゃんは必ずうなされるように目を覚ます。
「やめてっ、は、離して……!!やぁ…っ」
きっと、今もあの時の夢を見たんだろうな。
大きく体を震わせて、青白い顔に眉を下げて不安いっぱいな表情をさせる志保ちゃん。
全身に汗をいっぱいかいて、夢と現実がごっちゃになっているみたいだ。
「よしよし、ここは志保ちゃんの部屋だよー」
「……っ、ひっ…く」
「今は夜中の1時だよ。志保ちゃんはー、今ベッドで眠ってたんだよ」
志保ちゃんの湿った額に手を当てれば、ひんやりとした体温が伝わってくる。
「……うぇっ、」
「大丈夫、大丈夫。ほら、ゆっくり深呼吸してー」
分かるよ。俺だって、時々見るもん。
生臭い生血の匂い。ぐしゃぐしゃと臓器が滅茶苦茶になってく音。一緒にかぶった、ぬるぬるとした生温かい返り血。
あれは、正直強烈だったな……。