レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
外を歩くだけで、他の人の視線が気になって俯いて顔を隠す日々。
話し声や笑い声が、全て自分に向けられているみたいに感じる。
スマホのアラームが鳴って朝を知らせるのに、学校へ行かなきゃならないのに、家から出られない。
「はい、……すみません。体調が優れなくて……申し訳ありません」
電話口の向こうから溜め息が聞こえて、繰り返し頭を下げて、自分の不甲斐なさに惨めになっていく。
何度も仕事行こうと努力した。でも、学校へは辿り着くことはなかった。
行かなきゃいけないのに、震えて足が動かない。息が浅く短くなって酸素が足りなくて苦しい。
仕事に毎日行くという、当たり前に出来ていた事が出来ない。情けない。社会から外れていく事が怖くて堪らない。
私だけ違う。罪悪感で今にも押し潰されてしまいそうで、世間から逃げるようベッド上で頭から毛布にくるまっている時だった──。
"ピーンポーン"
カーテンを締め切った静かな部屋にインターフォンが鳴り響くから、体が反射的にビクッと大きく動いた。
"ピンポンピンポンピンポン"と何度も繰り返し音が続いて。固まって動けずにいると、次はガチャガチャと鍵をまわす音がしてドアが勢いよく開かれた。
「志保ちゃーん。おーい、生きてるー?」