レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
「志保ちゃん、クソ真面目なのにさー学校こないとか相当じゃん?マジで家で死んでるか、倒れてるんじゃないかってさー」
「ご、ごめん……なさ…ぶッ」
頬に当てられていた手が離れて、今度は唇の部分をぎゅっと摘ままれる。
「だからー。すぐ謝るの志保ちゃんの悪いクセだよー」
「んっ、んんんん……」
「あははー。何言ってるか分かんないし、ぶっさいくな顔ー!」
「んー…」
「ふははっ、志保ちゃん可愛いー。ウケる」
楽しそうに笑い声を上げながら、再び背中に手を回される。今度はふわりと優しく抱き締められるから、不思議な安心感が沸き上がる。
息が出来ない位に苦しくて、怖くて堪らなかった。誰ともいたくないのに、1人は嫌だった。
本当に相変わらずで、この子は何が起こっても、変わらないのだろうか。
「……う、ぁっ…」
喉がジンと痛い。目頭が熱くなって、潤いが増していくのが自分でも分かる。
ボロボロと涙が溢れ出て、手で拭うもすぐに零れ落ちていく。
どうしよう、何でだろう。涙が止まらない──。
「……っ、く」
でも、きっと、太央なら……。
私の頭をよしよしと撫でて、私の涙を喜んで全て舐めて消してくれるから。