レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
それから太央は、私の部屋に住みついたといっても過言ではない。
夜は一緒に寝て、朝は一緒に起きて、食事は無理矢理だけど一緒に食べて生活を共にした。
毎日制服を着て出掛けて行くも、お昼過ぎには帰ってくる太央。
家へ帰宅している様子はなかったけれど、太央のスマホが鳴り続く事は無かった。
私は、ただ、この部屋であの子が帰ってくるのを待つ生活を過ごす。
ベッドの上で毛布を被ってぼんやりと過ごす日もあれば、苦しくて何かに脅えて、嫌な夢を見て泣いてしまう日もあった。
1人で外に出ようと試みた事もあったけれど。
外の空気を体自身が拒否をするみたいで、息が上手く吸えなくてすぐに苦しくなってしまう。
短い呼吸で精一杯体に酸素を送って、逃げるように部屋に戻るの繰り返しだった。
社会から逸脱した罪悪感に後ろめたさを感じて。自分を責める日々。
仕事にも行けない、駄目人間なのだと嫌でも思わずにはいられない。
群れの集団から弾かれた人間は、白い目で見られ、笑われて同情の視線を向けられるから。
「大丈夫ですか?」
アパートのすぐ前の路地で、しゃがみ込む私に誰かが後ろから声をかけてきた。