レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
13.終電
「首吊りだとー、体の液体全部出ちゃうから俺やだなー」
太央が子供のように唇を尖らせる。
部屋のベッドの上で膝を折って寄り添うように座り、私達は小さなスマホ画面に視線を下ろしていた。
「確かにそうね」
「あ、ねぇ。手っ取り早く、駅のホームに飛び込むのは?」
「身内に迷惑がかかるし、最後まで文句言われるでしょう?」
「うーん。じゃー、マンションとかのー屋上から飛び降りるのも却下?」
「そうね、飛び降りは処理も大変だし……万一下に誰かが来たら…」
「ねぇ、この毒ガス発生させるやつはー?結構メジャーっぽいよ?」
太央が画面を人差し指でタップして、単語検索にかければ具体的な内容が表示される。
こんなにも簡単に自死方法が調べられてしまうものなのね。と、驚きと関心が混じった複雑な思いにもなる。
「このタイプの毒を発生させてしまうと、臭いと周囲の人にも迷惑かけちゃうわ」
「死んだ後のことなんか、どうでもいーのに。真面目だなぁ」
大きな溜め息を吐くこの子を横目に、画面をスクロールしていった。
不思議な気分だった。命を絶つと決めたあの日から、今こうして生きている事に対して、前向きになれているから。