レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
おかしな話だけど、こうやって太央と計画を話し合う事を旅行の行き先を決めているみたいで楽しく感じている。
SNSで自殺願望のあるグループサイトも見つけて。理由も様々で年齢層にも幅があり、すこし覗くだけでも、私だけじゃないという安心感が得られた。
「死んだ後まで他の人に迷惑かけたくないでしょう?」
「ふはっ、でも志保ちゃんらしー」
時々様子を見に来ていた母親も顔を見せなくなった。もう職場へは行かない。彼とも会わない。生まれた家にも帰ることは出来ない。
私は、この子以外の全てを切り離してしまった。
まだ、高校生なのに。道連れにしていいのだろうか。
太央に視線を向けていれば、バチッと目が合って「どうしたのー?」なんて目を細めて笑うから、思わず顔を背けた。
「あー、なんだよその態度!今、俺のこと見てたでしょー?」
「……見てないわ」
「嘘だー、見てたー」
「嘘じゃないわ」
くだらないすぐにバレる嘘に、この子は楽しそうに笑うから私の心も楽になって口元が緩んだ。
「あ、笑ったー」
「……え?」
「志保ちゃん笑ってるの、久しぶりに見たー」
隣に膝を抱えて自分の爪先を見る私を覗き込んで、ゆっくりと近付いてくる。もう何の抵抗も無い。ただ、私はこの子の唇を受け入れて、へへッと無邪気に笑う顔を見つめた。
次の日。私達はこの小さな部屋から出ていった。