レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
なんて、自分の思考にゾッとした。一瞬でも、世間体が頭に過った事をひどく後悔する。
太央は無条件にどんな私でも受け入れてくれたのに。自分の身の心配をするなんて最低だ。
──じゃぁさ、ずっと親の決めた道を歩いてきたんだー?
──じゃぁ。断れば良かったじゃん。自分で
──今の時代さー、倒れるまで働くことないじゃん
──婚約者が他の女とヤってるのが平凡って言えるの?
──結局はー、1人じゃ何もできない腰抜け女なんだよ
誰よりも、私を見ていてくれた。
私より私の事を理解して、大切に優しく包み込んでくれた。
目頭が熱くなって、ブワッと涙が溢れ出る。
そのままの私を必要としてくれた太央。
もし、この子がこの世界からいなくなってしまったら……。私はどうやって生きていけばいいの?
「…………………………た、太央、」
喉から掠れるような小さな声が出た。
「志保ちゃん?なんなんだ、この状況は!?」
「…………た、太央…」
「なんで、こんな事になってるんだよ?」
「…………太央、手…」
強くしっかり握っていたのに、意識が無くなると簡単に離れてしまうものなのか。
鉛のように重い腕を伸ばして、太央の指先に触れた。
「……………うう、うううぇ、気持ち悪いー」