レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
震えるような息が白く吐き出されて、涙目になった彼が私に顔を向ける。
私を認めてくれた、あの日と変わらない穏やかな顔だった。
「志保ちゃん、ごめんね」
「……謝ればいーってもんじゃないよねー」
「太央、お前は黙って」
「……志保ちゃんはー、兄さんなんてもう必要ないって」
「なんでお前が」
「……志保ちゃんはー、もう俺のだもん。絶対、絶対もう返さない」
「何言って……は?」
成央さんの台詞にすかさず太央が言葉を続けるから。なんだか2人のやり取りが面白くて、泣きながら声にならない笑いで体が震える。
「……志保ちゃん、大丈夫ー?俺、めっちゃ頭痛いんだけど」
太央の言葉に地面に転がったまま、小さく頷いて、握られた方の指も少し動かした。
「……ねー、逝けなかったけど、どうするー?またリベンジする?」
「お前、何てこと考えてんだよ!」
太央の台詞に、成央さんは耳が痛くなる程の怒りの声を上げて、私は小さく首を横に振った。
太央もそれ以上言わなかったから、伝わったのだろう。
「……ねー、寒いよー。凍えちゃうよー。車の中に入ろー」
「誰が入れるか!お前ら2人は外の空気を存分に吸えっ!!」