レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
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「おめでとう、妊娠3ヶ月入ったとこね。心拍も無事確認できたし、安心して。予定日は……まだ確定出来ないけど、大きさから11月はじめかなー」
と、産科の女医の先生が私達に告げた。
検査薬で陽性が出たので、そのまま慌ててタクシーで病院を訪れた。
今まで生理不順で女性外来を受診した事があり、行き付けの産婦人科があって良かったのだけど。
「あの、先生。でも、2月下旬、生理が、ちゃんと……きて、」
戸惑いのあまり、何もまとまらなくて、単語の羅列でそのまま台詞に出てしまう。
「あー、うん。もしかしたら、着床出血かもしれないわ。妊娠初期にみられる出血でね、それを生理だって思っちゃう人もいて……」
先生が説明をしながら私の隣に立つ太央に視線を向けた。一瞬、怪訝そうな顔を見せるから、制服のまま来てしまったことを後悔する。
「えーと、君がパパ?……その制服、桜高か。ご両親に説明できそう?」
当の本人は口をポカンと開けたまま、頷く事さえも出来ない状態だ。
え、誰に何て説明すればいいのかしら。成央さん?おばさま?私だって頭が痛くなってくる。
「これ、エコー写真ね。見る?産むにしても……下ろすにしても、ご家族でよく話し合ってね」
ペラペラの白黒のエコー写真を見せられると、小さな影がうつっていた。