レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
志保ちゃんには酷いことした自覚はある。
妹みたいな愛情は持っていたけど、恋愛感情にはならなかった。
「すみません、送って貰っちゃって。ありがとうございました」
たまたま見かけた彼女をアパートまで送ってあげた時のことだ。
車から下りると、彼女は深々と頭を下げた。
真面目なところは変わらないけど、表情がとても柔らかくなったと感じる。
あれから2ヶ月。太央と彼女は案外、上手くやっているようだった。
「志保ちゃんっ、なんで兄さんの車なんかに乗ってんの!?」
車を発進させようとしたところで、太央が走ってくるから驚いた。
お前こそ、こんな時間に制服で何してんだよ。まだ明らかに学校の時間なのに、どんだけサボるんだよ。
「もー、いーから。早く消えて」
太央が志保ちゃんに抱きつきながら、俺を威嚇してくるからホント面白くて堪らなくなる。
「じゃぁ、またね。志保ちゃん」
「志保ちゃん!あの人と目合わせないでー」
バックミラー越しにまだ俺を睨んでる太央が見えるから。
ふはっ、俺の弟は可愛いなぁ。でも、これ以上からかって嫌われたくはないしなー。と、車を走らせていく。