レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
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「奈都ー、久しぶりー。傷の具合はどう?」
「な、なんで、……痛っ……つ。あ、あんたがここにっ?」
「あは、まだ痛むんだ。でもしょうがないよね。自分で刺したんだもんねー。ざまぁ」
笑顔でそう言ってやれば、白いベッドに横になる奈都が悔しそうに顔を歪ませた。
奈都は市内の緊急病院にまだ入院していて、一般の面会は制限されているとの事だ。
沢山の管に繋がれている状態で、まだ臓器の一部の回復が出来ていないと、さっきのデブポリスが言っていた。
「ねぇ、奈都。俺怒ってんだけどー。なんで志保ちゃんにあんな事したの?」
「……成央は?成央は来てくれないの?成央に、会いたいっ…」
「バーカ、兄さんが来るわけないじゃん。兄さんは自分の心配で精一杯だよ。確かに兄さんにとってお父さんは邪魔だっただろうけど。本気であんなこと望んでると思ってたのー?」
「……でも、私は成央の自由を考えて。スマホ没収されちゃって連絡取れないの、太央くんお願いっ」
「兄さんの自由のために、婚約者の志保ちゃんと別れられる口実を作ってあげようとしたんだー?」
「……っ、」
「俺はねー、あそこまで志保ちゃんをボロボロに傷つけた奈都にムカついててー、滅茶くちゃ気に入らないんだけど」
顔を反対に向けて黙り込む奈都の頬に、そっと手をそえた。