レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
「満足?でもね、今の志保ちゃんはー、すっごく可愛くて、子供みたくて。震えながら俺だけを頼ってきてくれるんだー」
「く、くる……し」
「絶対に手に入れられないと思ってた志保ちゃんがさー。俺を見て安心してくれるんだよ?俺さー、今すっげー幸せで堪らないんだけど。ふはっ、これだけは奈都に感謝してるー」
「………ぐっ、」
「それとー、奈都、お前さー志保ちゃんにもう絶対に近づくなよ?」
パッと右手を離すと、奈都が咳き込みながら俺のことめっちゃ睨みをきかせてくる。
「黒田くん!やめなさいっ」
デブポリスが止めに入ってきて、そのまま奈都の面会は終了しちゃったけど。あの、奈都の悔しそうな顔、思い出してもめっちゃウケる。
「アイツしつこいから、ちょっと脅かしただけですよー。あ、それと、三木さんちには行かないって約束守ってくださいね。彼女、あれ以上壊れちゃうと困るんでー」
えへへー、と笑顔を作って見せれば、目の前のデブは腑に落ちない顔をしながら「わかった」と小さく返事をした。
面倒だけど、コイツとの話テキトーに終わして、志保ちゃんのとこに行かなくちゃ。
小さな部屋の中で、俺の帰りを待つ志保ちゃん。1人震えて、ぐしゃぐしゃに泣いてないだろうか。
早く帰って、志保ちゃんが安心するように抱き締めてあげなくちゃ。
待っててね、可愛くて愛おしい、俺だけの志保ちゃん──。
──太央くんと奈都ちゃん──