レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
「近い。それにレールアウトなんて言葉、ありません」
近付いてくるから──、顔を押し出して両手で頬を潰した。
「うっわー、頭かたいね。ちょっと位いーじゃん」
「そういう問題じゃない」
「さっすが。先生は結婚さえも親に逆らえないもんねー」
ケラケラと心底楽しそうに笑うこの子は、相変わらずで癇に触る。
いつもそうだ。まだ子供のくせに、面白がって挑発するように私をからかうのだ。
「そんな事ありません」
「ふーん」
「ちゃんと同意のもとだし。太……、黒田くんが心配することは何もないから」
「ねぇ、本気でそう思ってんの?」
「もうすぐ、予鈴鳴るから早く戻りなさい」
「志保ちゃんの、先生ぶるところ好きだな」
「馬鹿なこと言ってないで…」