レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
太央くんの彼女
「あの、黒田先輩。好きです、つき合ってください!」
「ごめんねー、俺、彼女いるからー」
にっこりとそう口にすれば、顔を真っ赤にさせた女の子が一瞬泣きそうになる。
初々しいなー、1年生かな?
「そうなんですね、分かりました……」
「うん。じゃー、そういうことで」
と、まだ真新しい制服を身にまとう女の子にくるりと背中を向けた。
*****
「太央、お前。さっき渡り廊下でコクられてただろ?」
「マジかよ!?つき合うのか??」
「あれ、1年のめっちゃ可愛いって噂の子だったよなー?」
どこで見ていたのか、教室に戻るとすでに話が広がっていてクラスの奴等に囲まれた。
こういう情報ってほんと回り早いよな。そして喰いついてくる。別にさっきの子が可哀想だとかじゃないけど……。
「んー?ごめんなさいしたー」
「あー、お前根っからの年上派だからなー」
「でも、もったいねー。1年の可愛い子ちゃん」
「そういやさ、最近は彼女作らないよなー。何で?」
「なんでってー。俺、あ、彼女いるし……って、彼女かぁ。彼女でいいのかなー、へへへ」
さっきは断る口実にしたけど、志保ちゃんの事を"彼女"と言っていいのか少し迷う。
兄さんと義母さんには、志保ちゃんとの事について誰にも言わないよう強く圧かけられてるけど。
でも、いざ"彼女"と口に出すとけっこう胸にくるものがあるな。