レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
志保ちゃんと太央くん
「この度は……、大変申し訳ありません」
「志保ちゃんったら、もう頭を上げて!こっちも悪いんだから……」
応接間の畳の部屋。正座をして深々と床に頭をつける。
あの日から、彼と別れる事になってから、もう二度とこの家に上がる事はないだろうと思っていたのに。
「そうだよー、土下座なんていなくていーよ」
「お前は空気読めよ」
「いてっ。そうやってすぐ叩くの兄さんの悪いクセだと思うよー。元はといえばさー、兄さんが悪いんじゃん!志保ちゃんを大切にしないからー」
「だから、今は問題が別だろ?お前は高校生って立場でもっと責任を感じて……」
「兄さんに言われたくないしー」
「だいたい、なんで……ひ、避妊しなかったんだよ!?」
「んー、だって必要ないじゃん?あのまま死」
「わーーー!!お前は馬鹿か??」
(義母は自殺未遂のことを知らない)
兄弟が言い合っているすぐそばに座るのは、おばさまで"太央のお義母さん"だ。
成央さんと婚約していた時期も、随分と良くして貰っていたけど。まさか、こんな形で挨拶をするはめになるとは思いもしなかった。