レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
顔を上げると、眉を下げて困惑するような表情のおばさまが目に入る。
以前より少しやつれて心身ともに疲れている様に見えるから、胸が痛んだ。
「それで、どうするの?産むつもりだからここに来たんでしょう?」
おじさまが亡くなってまだ数ヶ月。
家がやっと落ち着いてきたであろう中、高校生の息子が妊娠させたなんて。しかも、相手の女性はもう1人の息子の元婚約者なのだ。
非道徳的過ぎて受け入れられる筈がない。
「…………はい。すみません」
実質、世間体が悪過ぎて私の両親には受け入れて貰えなかった。
母親だけにかろうじて会えたが、太央が挨拶できるような状況ではなかった。
重い空気の中、膝の上でぐっと拳を握りしめると、太央が私の手に自身の掌を重ねる。
「義母さん、ごめんなさい。すごく迷惑かけちゃうけどー。志保ちゃんのお腹の子供、産ませてください」
「……太央。あの、大人の私がしっかりし線引きしくちゃいけなかったのに。申し訳ありません。よろしくお願いします」
再び頭を下げようとした時──、
「母さん。太央はまだ高校生だし、下ろすのが最善だと思うよ。けど、俺は志保ちゃんにはとても酷い事をしたし……、2人が望むなら応援してもいいと考えてる」
「……成央さん」
太央の隣に腰を下ろす彼がそう口にするなら、胸がじんわりと熱くなる。