レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
「そんな訳ないじゃーん」
「……」
「志保ちゃんも聞いたでしょ?兄さんの女の人とエッチしてる声。俺とさ一緒に」
分かってはいた。けど、太央の傷口を抉るような言い方はやめて欲しい。
なんで私のアパートに、当たり前のようにこの子がいてご飯を食べているのか。
太央曰く、私が気の毒だから彼女と別れるよう協力してあげるとのことだけど。
何を考えてるのか、どこまで本気なのか分からない。
「ん、何?どしたのー。俺のことそんな見つめて」
「私の家じゃなくていいじゃない」
「だってさー、密会って憧れない?ほら、志保ちゃんと俺って、立場上は学校の先生と生徒だしさ」
スプーンを咥えながら楽しそうに目を細めるから、暇潰しに楽しんでるだけなんじゃかとも思う。
「ねぇ、ナツって人。分かったんでしょ?」
「んー……分かったっていうか、知ってるっていうか…」
「教えてくれるって、学校じゃ話せないっていうから」
「うん、でもさ。志保ちゃんその人のこと知ってどうするの?」
「え?」
「その人の家にのり込んで怒鳴りこむの?」
「……」
「兄さんと別れるよう泣き落とすの?」
「……」
「それとも、嫌がらせでもするの?職場にバラしちゃうとかさー」
太央が私に近づいて、"やってあげよっか?"なんてエヘッと無邪気に笑顔を見せる。