レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
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「正直、反対されるかと想像してたわ」
「むぅー、一緒に住むのは大賛成だけど、兄さんのってはナシだからね。絶対にー」
「もっと激しい言い争いになると思ってたけど……」
おばさまが物事を穏便に進めてくれてどんなに救われたことか。
話し合いの後、私の家へ送ってくれた太央は、いつもの様にベッドの上でくつろいでいる。
「俺的にはー、駆け落ちしても良かったんだけどねー」
へへへーと子供のように笑って、体を乗り出した太央にチュッと唇を奪われた。
「志保ちゃんもこっちおいでよー」
ベッド上にゴロンと横になる太央がポンポンとマットを右手で叩くから、この子犬の様な笑顔に吸い寄せられるようにベッドの端にちょこんと腰かけた。
「違うよー、こっち、こっちー」
「ちょっ、と……もお」
ぐいっと引き寄せられて背中に手を回される。甘えるように上目使いで視線を向けてくるから、反応に困って目を反らす。
「今日疲れたー?具合悪くない?大丈夫ー?」
「ええ、大丈夫よ」
「えへへ、今日は志保ちゃんが傷つくようなことが無くてホント良かったー」
そう言って、啄むようにキスが顔全体に何度も落ちてくるから戸惑いを隠せない。
この子との口付けがこんなに落ち着かないなんて。