レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
「ムカつくんだけどー」
撫でていた筈の手が私の髪をクシャッと乱して、太央が頭にキスを落としてくる。
「し、志保ちゃんのくせに、舐めるの上手いとかー」
「……」
「マジでっ……、ほんと想像するだけで…ムカ…、ツクー」
咥えながら顔を上げると、苦しそうな太央の瞳に水気が増していた。
視線が合うと、余裕の無い男の子が罰悪そうに大きな息を吐く。
「し、志保ちゃんー、チューして、キスがいいー」
両手で頬を持たれるから、太央のが口から離れた。
「こっちー、手……、手にして、持って、動かして、んぐっ」
「……え、もういいの?」
「今の俺の顔、見ないでっ、志保ちゃんに……見られたくないー」
切羽詰まった声を出し息が荒くなる太央が、後頭部に手を回し反対の手で私の目を覆うから。視界が遮られて、より一層、掌の中の熱く脈打つ太央自身がリアルに感じる。
「ッうぅ……、志保ちゃんー…好きだよ、」
「……知ってるわ」