レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
「なんか、モヤモヤするんだけどー」
「足りなかったかしら?必要ならもう1回」
「違うしー、納得いかないだけだし、色々とー。なんで志保ちゃん平気であんなことしてくれんのー?」
気恥ずかしそうに唇を尖らせて「慣れててムカツクー」を繰り返す太央。
「それなら太央、あなたの方が……」
「んー?なにー?」
いいかけた台詞を途中で止めれば、キョトンとした瞳で見つめられる。
あなたの方が"お互い様"と言えるような"異性関係"の状態じゃなかったでしょう?──なんて口が裂けても言える訳がない。
「とにかく、愛しいと感じる人を満足させてあげたい。そう思うのは普通でしょう?」
「……愛しいって俺のことー?」
「他に誰がいるのよ?」
「むー、志保ちゃん言い方ずるいー」
ベッド上で寝転がりながら、ぎゅっと強く抱き締められる。この子の温かい体温とまだ乱れた心臓の音伝わってきて、愛しくて胸がグッと堪らなくなった。
そう思って自ら太央に口付けると、にいっと子供みたいな笑顔をみせる太央がいる。
「へへ、志保ちゃんほっぺた真っ赤だー」
太央は「好き」という言葉を数えきれない程くれるけど、きっと、私もそれ以上に惹かれていて。
愛おしくて、可愛くて、もう一生手離せないのは私の方なのかもしれない──。
──志保ちゃんと太央くん──