レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
「……はじめてだけど」
「一緒に写真いっぱい撮ろうねー」
「……撮りません。それに、そもそも……あの人…奈都って人と一緒にこんな所に来なくてもいいじゃない。あなた一体、何を考えて」
成央さん達の後ろ姿を見て、不安が大きくなっていく。お似合いだなんて、一瞬でも感じてしまった事が悔しくて堪らない。
なんで、なんでこんな流れに……。
「えー、じゃぁ。断れば良かったじゃん。自分で」
「……」
「ほら、俺は志保ちゃんが奈都のこと知りたいだろうって思ってさー。親切心?みたいな」
「……」
「それにさ、LINEで送ったじゃん。"先生、今週の日曜デートしよ♡"ってさ。ね?」
「え……?」
何それ。はじめから偶然を装おって行動していた、という事なのだろうか。
「早く行こー」
「触らないでよ」
パシンと差し出された太央の右手を振り払ったのに、この子はにっこりと笑みを浮かべる。
「ほら、2人に置いてかれちゃうよ」
成央さん達はエントランスに着いていて。
奈都さんだけがこっちに向かって大きく手を振っていた。