レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
「……そう」
「男の趣味が一緒だし、色々気が合うんじゃない?知らないけど」
職員室までの道のりがやけに遠く感じる。
この子の言葉が胸の奥にずしりとのしかかって、一瞬息が出来なくなった。
「何でもするよ?俺、先生の味方だから。ねー?」
太央の声のトーンを落とさない台詞に。
職員室前にいる生徒が何人かこちらを見ているのが分かった。
「はい。後で何かお礼よろしくー」
ノートの束を渡されるから、ズシリと重みで思わずよろける。
体を勢いよく回転させて廊下を走ってく太央を見て"廊下は走っちゃいけません"なんて言葉が出る筈もない。
── 太央くんにお願いしてLINE教えて貰ったんだけど、迷惑でしたか?
── 一緒に飲みに行きませんか?良さげなお店見つけたんです!URL貼りまーす
── 明日とかどうですか?
──あ、他のお店でもいいですよ
── お仕事中ですかー?
── お返事ください(ぴえん)
── 志保さんの趣味は何ですか?
── 私たち、好みが似てると思うんです!
鞄の中でスマホの振動が、何度も鳴り続ける。
結局、放課後。あの子が職員室に課題を提出しに来ることはなかった。