レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
「太央には、関係ないでしょ?それより、早く出てって……」
「えー、せっかくだから付き合うよ?飲むの」
ヘラヘラしする太央が、蓋の開いた缶チューハイを持って口付けるからギョッとした。
「ちょっと、やめてよ。あなた未成年でしょう?高校生でしょう?未成年者飲酒禁止法で、20歳未満はお酒を飲むのは禁止されてるの」
「志保ちゃーん、そんなの誰でも知ってるよー」
真っ青になって止めたところで、"子供でも"と笑われるだけ。
「ダメ、返して!」
「こっちだよー」
アルコールの缶を奪い取ろうとしても、ひょいと避けられてしまう。
そもそも、家に上げたのが、鍵を開けてしまったのが間違いだったと気づいてもすでに遅い。
「こ、この間だって、成央さんにあなたのピアスが落ちてるの見られたんだから」
「え、ピアス?あー、どこで落としたんだろうと思ってたんだけど、志保ちゃんちだったかー」
「勘違いされるし、本当にやめて欲しい」
「させときゃいーじゃん?」
「駄目よ」
「えー、なんで?」
「成央さんだけには誤解されたくないからよ!」
部屋の中に響いた、自分の声の大きさに驚いた。こんな声が出ることに、ムキになってしまったことに、恥じ入る。
少しの沈黙の後、太央がベッドの上に視線を向けて口を開く。
「志保ちゃん、スマホランプ点滅してるよ」