レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
黒田太央。早生まれだから16歳。
私立桜高の普通科に通う2年生だ。
「……よく知ってますね」
「まぁ、ここ来てくれる生徒の顔を覚えるのも仕事の1つだから」
「あの子、保健室よく来るんですか?」
「うーん、結構来るかな」
「サボりで?」
「あはは。それに女の子からも話よく聞くかな。可愛い、優しそうってね」
「どこが?」
「それに、中性的というか小犬みたいで目立つしね」
橘先生の言う通り、パッと見、愛想はいいかもしれない。
背も他の生徒に比べると低い方だし子犬っぽいというのも分かる。
傷みを知らない黒髪は真面目と爽やかさを主張しているし。顔面に人懐っこい笑顔を張り付けて、計算されたかのような上目遣いに騙される気持ちも理解出来なくはない。
でも、あんな何考えてるか分からなくて、言動、行動予測不能の不思議野郎なのに、世の中は間違いだらけだ。