レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
06.乗り換え
「あの、私……」
「ん、どうしたの?」
「成央さんとならそういう行為、いつでも覚悟できてますから」
「無理しないで、志保ちゃんのペースに合わせるから。大切にしよう」
優しさからだと思ってたのに。
"大切にしよう"だなんて言葉の意味は、お互いに違ったのだろう。
何も知らずに舞い上がっていたあの頃には、もう戻れない──。
「おはよー」
「おは、……おは?」
「志保ちゃん、よく眠れたー?」
すぐ真横に頬杖をついた男の子がいて、私にニコニコと顔を向ける。
「えへへ、寝顔見ちゃったー」
にぱっと嬉しそうに笑う太央の顔に、一気に血の気が引いて勢いよくベッドから体を起こした。
いつの間にベッドに移動したのだろうか。
この子が運んでくれたのか、毛布までかぶっている。
「はぁ、志保ちゃんと……一晩中一緒のベッドで」
「言い方」
「幸せな夜だったなぁ♡」
「……」
やってしまった。いや、性行為はしていない。
頭を左右に大きく振って、昨日の夜の出来事を整理する。
服も乱れて無いし、下着だってちゃんと着けたままだし、記憶だって飛んでいない。多分。