レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
「あはは、真面目だなー。志保ちゃんは。インフルかかったら悩むことなく休むでしょ?同じだよ」
「違うわ、それは出勤停止」
「遅刻だと結構寝坊ってバレるよ?それにさ、どうせ有給使ってないんでしょー。消化しとけば?」
遅刻か、欠勤にすべきか。
寝坊で仕事を欠勤するなんて、人生の選択肢としてなかったけど。
「……はい。体調がよくなくて熱が……申し訳ありません…… 、よろしくお願いします」
体調が悪いのは事実だとしても、はじめて仕事をサボる事に代わりはない。
通話ボタンを切って、罪悪感が胸に押し寄せて溜め息が漏れた。
「ねぇ、お腹減ったー」
「あなたは学校に行きなさい」
「えー、志保ちゃんだけずるい」
「当たり前でしょう」
太央の姿を見れば、Yシャツ、制服のズボンはしわくちゃな状態で寝起き同然。
こんな、いかにも朝帰りな格好で学校へ行かせるのも不安だけど、流石にサボらせる訳にはいかない。
「ぶー、志保ちゃんの寝顔撮った写真、教室で友達に見せ」
「待ちなさい」
「もう家のパソコンにデータ送っちゃったけどねー」
にっこりと向けられる笑顔。
何も考えていないようで抜かりない太央に、今回ばかりは諦めるしかないのだろうか。