レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加



「……わかった。じゃぁ行かなくていい」

「えっ、本当に?やったー」


ベッドで飛び跳ねて喜ぶこの子を見て、苦肉の策とはいえ私は何をやっているのだろうか。
この選択をしたことをさっそく不安に思う。



「その代わり、その写真を消すこと。それと、このことは誰にも言わないこと」

「うーん、分かった。いーよ。だから今日は一緒にのんびりしよう。ね?」

「……今日だけね」


太央にしては随分と聞き分けがいい気がするけど、大丈夫だろうか。



「志保ちゃんに迷惑かけないようにする。内緒にする。2人だけの秘密ー」


後ろからふわりと抱き締められて、耳元で甘い声が囁かれた。
その声が彼のものと似ているから。心臓が大きく脈打ち出して、冷静さを失いそうになる。

頬にすりすりとこの子の頬をつけられて、サラサラの髪の毛が当たるからくすぐったい。
甘えてくる子犬みたいなのに、その大きな手は確かに男の人のもので、頭がぐらぐらしてくる。

次の瞬間、ちゅっと首筋にキスを落とされた。

そのまま、顎を引き寄せられて──。





「や、めなさい」

「えー、昨日はさせてくれたじゃん。あんなにいっぱいさー」

「駄目なものは駄目」

「ちぇー、ケチー」


この子のペースにのせられたら、確実にまずい。

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