レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
「……え?」
「子守唄か絵本読んであげるー。どっちがいい?」
「どっちも遠慮します。私の休養を邪魔しないで」
「具合悪い時は、甘えていーんだよ?ね?」
「……」
何を言っても通じないのは今に始まったことじゃない。
太央がスマホの子供向けであろうアプリを開いて、画面を見ながらなにやらお話を朗読された。
内容は子供の頃に聞いたことのあるような有名なむかし話。
とてもくだらないものだったけど。ここ何日も眠れてなかった私は、いつの間にか眠気を誘われて意識が遠退いていく。
いつぶりだろうか、こんなにのんびりと時間を過ごすのは。
ふわりと、優しく頭を撫でられて、ゆっくりと誰かの存在を感じながら目を閉じて眠ることができるのは──。
「志保ちゃん、起きて。まずい、兄さん来ちゃった」