レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
誰かに身体を揺らされて、ぼんやりと瞼をこする。どの位、眠っていたのだろうか。
次に目を開けた時、カーテン越しに見える外は薄暗くなっていた。
「ねぇってば、志保ちゃん。兄さん来ちゃった。どうする?」
「……え?」
もう一度耳に入ってきた台詞に、一気に目が覚めた。
チカチカとランプが光るインターフォン画面には、成央さんの姿が写っている。
彼の手にスマホが持たれていて、画面を確認しながら首を傾げているようにも見えた。
「俺、出て説明してあげようか?志保ちゃんはー、今日具合が悪かったから、俺が看病してたって、兄さんに言ってあげるー」
「や、やめてよ。あなたが私の看病なんてどんな流れなのよ、おかしいでしょう?変な誤解が生まれるでしょう?太央、あなたはどこか隠れて…」
「えっ、隠れるのー?うわー、俺って間男っぽくない?」
太央が子供みたいに楽しそうな笑顔を浮かべながら、玄関から自分の靴を手に持ちベランダへと向かう。
「……はーい、成央さん。あの、私ちょっと寝てて。その、待ってください」
ボタンをタッチしてインターフォンに応じながら、自分の部屋を見渡して、あの子の痕跡が残されていないか慌ててチェックする。
簡単に身支度と髪を整えて、扉に手をかけた。