レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
「え……、おじさまが?」
「入院したんだけど、太央と連絡取れなくてさ」
「そんな……。だ、大丈夫なんですか?」
「夜中に呼吸が苦しくなって……。その前から調子は悪かったみたいなんだけど。母さんが連絡がきて、家に帰ったら父さん倒れていて急いで救急車を呼んだんだ」
憮然としたこんな表情をする成央さんを初めて見た。
一瞬でも、あの子がいるベランダのに顔を向けたらいけない、疑われる、と思った自分がいることが恨めしい。
どうしよう、あの子に連絡がいかなかった原因の一因として私のせいでもある。
太央と一緒にぐっすり眠っていた時に、そんな大変なことになっているなんて。
胸前で組んでいる両手にぐっと力が入る。
「ウィルスが扁桃腺に感染して炎症が起きたらしい。抗生剤の入った点滴を打って、4、5日では退院出来るから、父さんにはおおごとにはしないで欲しいとは言われたんだけど、父さんも年だからね。まぁ、回復はしてきているから」
「そうなんですね……」
「志保ちゃんがそんな顔しないで。もう病院だから安心して」
「は……い」
「で、太央に連絡つけたいんだけど。昨日家に帰って来なくて、学校にも行ってないみたいだって母さんが騒いでるんだ」
「……」