レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
「あ、話戻るけど。三木先生は黒田太央くんと付き合ってんの?」
「いいえ」
「でも、志保ちゃん♡とか下の名前で呼んで仲良さげだったじゃん。本当は教師と生徒なんて駄目だけど、三木先生なら応援してあげるよ」
なんて橘先生が軽い感じで"下の名前シホっていうんだねー"と笑いながら言葉を続けていくけど。
「はぁ…、橘先生。私に恋人がいること知ってるじゃないですか」
弁解すれば、回転椅子に座る先生が「つまんなーい」にと唇を尖らせた。
つまらなくて結構。
私にはちゃんとした恋人が、結婚を前提としてお付き合いしている相手がいるのだから。
「あの子は昔からあんな感じなんです」
「へぇ、昔からの知り合いなの?」
「弟なんです。か、彼の…」
確かに、あの子のいう通り親の決めた道を歩いてきた。
道を外すことなく、真面目に大人のいう通りに生きてきた。
中学受験も、高校も、大学も。
教師という職業だって父親が用意したレールだ。
けど今の私に不満は何一つないのだから何も問題なんてない。
「もう予鈴も鳴るし、戻りますね」
「あ、ねぇ。三木先生、今日学校終わったら飲み行こうよ。その話聞きたーい」
「ごめんなさい、先約が入ってて……」
ニヤニヤとからかいモードの橘先生を残して保健室を後にした。