レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
「わっ、びっくりしたー。なんだよ、もう」
「教室にいないと思ったら……やっぱりここにいた」
「え、俺?何、探されてたのー?」
ベッド上に枕を抱いて寝転がっている太央が、欠伸をしながら私を見上げる。
水気の溜まる目をぱちぱちとさせているこの子の姿は、寝惚け半分そのものだった。
「成央さんから聞いたの。あなた何で家に帰ってないの?」
「なんだよ、説教でもしにきたのー?」
「そのうち、おばさまも学校へ訪ねてくるわよ」
「うーん、それは困るなー」
「それに、スマホの方に連絡いってるだろうけど、おじさまの入院……延びたのよ。お見舞いにも行かないで何やってるの?心配じゃないの?」
おじさまの入院は2、3日の予定だった。
だけど、回復の様子から1週間程度延びるだろうとの事。念のため精密検査もする事になっえ結果によっては、それ以上延びるかもしれない。
なのに、この子はあの後 家に一度も帰ることもなく、家族の連絡も応じていなかったらしい。
太央が頭をポリポリと掻きながら上半身を起こして。
「あんな奴、早くくたばればいいよー」
笑顔でこんな事を言うから、驚いて一瞬息を飲んだ。