レールアウト~婚約者に裏切られて彼の弟(生徒)にせまられます~番外編追加
いつも、おじさまと会う時は成央さんと一緒だからなんとか過ごせていたのだと、改めて実感する。
「何をやらせても普通で、なんにも期待できない次男だからなぁ。家内も学校へ何度も呼び出されて」
「男の子は結構、多いんですよ」
こんな話をされても返事に困るのだけど…。
相変わらずのこの人の息子をディスる言葉に、この時ばかりはすぐ隣に立つこの子を気の毒に思わずにはいられない。
「血の繋がりもないのにどんだけ迷惑をかけて」
「ははは……」
笑うところでは無いけど、苦笑いしか返せない。
太央に至っては、慣れているのかニコニコしながら完全に聞き流している。
父親におおいに期待されて、背負わされて、今の時代に結婚相手まで決められてしまう兄。
と、父親に全く期待されず、努力も認められず、自由気ままに好き勝手にやれる弟。
どちらが不幸なのか──、
「太央、志保ちゃん。良かったー、来てくれたのね!」
その時勢いよく扉が開けられて入ってきたのは、おばさま……太央のお義母さんだった。